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大石建設株式会社/2005.02.25
身障者と家族の共生住宅「ONE'S ONE」
ひとつの暮らしに、ひとつのカタチ。

▲藤野邸外観

障害の程度に合わせた家づくり

ここ数年、高齢化社会をむかえたこともあり、『バリアフリー』という言葉をよく耳にすることが多くなったのではないでしょうか?
また、『バリアフリー』と銘打った製品もよく目にするようになりました。わたしたちの家づくりの世界でもバリアフリーに対応した住宅への取り組みがひとつの潮流になっています。ただ残念なことに、段差をなくしただけとか、ごく表面的な取り組みにとどまったバリアフリー住宅をしばしば見受けられます。設計の現場に携わるわたしたちには学んでいかなければならない余地がまだまだ残されているのが現実です。

家づくり全般について言えることですが、家づくりという暮らしそのものをひとつのカタチに集約していくということは、設計を進める中でそこに住む人や家族のライフスタイルや嗜好が大きく反映されるもので、ひとつとして同じ設計は成り立たないものです。
こと身障者が暮らしていく住まいのバリアフリー化についても同じようなことが言えます。一口に身障者と言っても、一人ひとりその障害の程度が異なりますので、画一的なバリアフリー化にとどまらず、その身障者に合った設計プランをそれぞれ用意する必要があるのです。

障害を持つ方の「暮らし方」を知ることが設計の第一歩

今回、取材にご協力いただいたオーナーの藤野さんは、第5胸髄損傷の方で手動車いすの利用者です。設計を進めるにあたり、ご本人の障害の程度や車いすの操作方法をはじめ、どのような動作かできないのか?あるいは困難なのか?設計の前提となる情報を充分に把握することから始まりました。実際の設計の場面では何度となく重ねられた藤野さんとの打ち合わせの中で、スイッチをどこに取り付けると使いやすいのか?どうすれば車いすの乗り移りが楽にできるのか?など、細部にわたる様々な生活の場面を想定し、ご本人の要望を織り込み、ひとつひとつの決定を積み重ねながら進められました。

将来の暮らしも見据えて

こうしたご本人とのコミュニケーションを密にすることが、マニュアルでは見えてこないご本人にとって最適の寸法や部屋のレイアウトが見えてくるのではないかと思います。また現在、藤野さんは28歳とお若いのですが、歳を重ねることによる身体の機能低下など、将来の身体的変化が予想されます。
では今の時点でどんな設計で将来に対応すれば良いのか藤野さんと一緒に考える…。ある意味では、その方のライフプランを一緒になって組み立てていく意味が含まれているのかも知れません。

「ワンズワン」はこうした考え方をベースに、「身障者と家族が共生できる住宅」をプランニングから設計・施行・メンテナンスにいたるまで、お引き受けさせて頂いております。